《働き方改革》労働生産性と幸福度

こんにちは。
今年の3か月予報では、6月の雨は平年より少なめということですが、あまり雨が降らないと、それによって困る業界・産業もありますね。悩ましいところです。

日本の労働生産性の国際順位は?

さて、「OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性」(※1)という資料があります。これによると日本の順位は20位。20位までの国々は以下の通りです。先進7か国の中では最下位です。

1 アイルランド
2 ルクセンブルク
3 ノルウェー
4 ベルギー
5 デンマーク
6 アメリカ
7 ドイツ
8 オランダ
9 スイス
10 フランス
11 オーストリア
12 スウェーデン
13 アイスランド
14 フィンランド
15 オーストラリア
16 イタリア
17 スペイン
18 カナダ
19 イギリス
20 日本

日本の幸福度は?

この上位20か国について、今年3月20日に公表された、それぞれの国の世界幸福度ランキング(※2)の順位を当てはめてみたところ、こんな散布図になりました。

労働生産性と幸福度
OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性と幸福度のランキング

右上ほど、どちらのランキングも高いのですが、その位置的なこともさることながら、日本がポツンとしていることに、どこか寂しさが。

この幸福度ランキングは、各国国民に対するアンケート調査をもとにスコアリングしており、定量的な客観データをもとにしていない点でアテにならないという意見もありますが、アンケート調査だからこそ、その国民が漠然と感じている”幸福度に対する感覚”が素直に出ているという見方もできそうです。

今、日本では、働き方改革で労働生産性を上げようという取り組みをしているところですが、本当の業務改善・業務改革がないままの、単なる残業抑制、早帰りの強制のための働き方改革を進めるならば、もっと幸福度は下がるのかも知れませんね。
やはり、ワークライフバランスについて、労使で真剣に合意・協調して進める必要があるでしょう。

※1:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018」、p.8(図8)
https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/
時間当たり労働生産性=GDP/(就業者数x労働時間)
※2:「World Happiness Report」(国連の関連団体である持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN))によるもの)
https://s3.amazonaws.com/happiness-report/2019/WHR19.pdf

(了)

3つのループ ~社会、個人、会社~

こんにちは。
1か月ぶりの更新になってしまいました。

働き方改革関連法が今年4月に施行となり、企業にとっては、「働き方改革」による長時間労働の抑制・生産性向上を中心として、従業員の健康に配慮すべきことの責任が増してきたといえるでしょう。それと同時に、今後は「ワーク・ライフバランス」について本格的に推進すべき段階が来たといえます。また、従業員の健康といえば「健康経営」への取り組みも忘れてはなりません。
今日は、個別に対応しがちなこれらの取組・言葉の関係性について考えてみます。

「働き方改革」といえば、「働き方」の改革(少なくとも見直し、改善等)をし、仕事の生産性向上を目指すものと考えてよいでしょう。「ワーク・ライフバランス」というと、仕事と私用、つまり公私の時間的均衡を図るものと考えている人も多いようです。しかしこれは少し違います。「ワーク・ライフバランス」とは、「仕事と生活の調和」を図るものと定義されおり、必ずしも時間という定量的な視点での均衡とは関係ありません。
では、この「調和」を図ることがどのような意味を持つのでしょうか。現実的には、生活、即ち仕事以外の全般についても過不足なく必要なことができることでしょうが、理想的には、性・年齢に応じた多様かつ適正な働き方ができ、自己啓発や健康増進、家族と向き合う時間を増やすこと等を通じて、仕事も生活も一層充実した日々を送ることができるようなことでしょう。
つまり、「ワーク・ライフバランス」は会社にとっても従業員にとっても理念的な位置づけであり、「働き方改革」は、それを実現する重要な構成要素としてとらえられるでしょう。

さて、もう一つのキーワード「健康経営」は、簡単に言うと、「戦略的に、従業員の健康に配慮した経営手法」ということであり、「健康企業宣言」「健康経営優良法人」等の言葉も聞いたことがあると思います。

ここまで簡単に「働き方改革」「ワーク・ライフバランス」「健康経営」の意味合いについて述べましたが、それらはどのような関わり合いを持ち、社会、従業員(個人)、会社(企業)にとってどのような関係性があるのか整理してみました。結論だけいうと、「ワーク・ライフバランス」「働き方改革」「健康経営」を三位一体で取り組むことで、社会・個人・会社の3つのループを回し、相互に成長させるということです。

ワークライフバランス、働き方改革、健康経営
ワークライフバランス、働き方改革、健康経営による成長ループ
ワークライフバランス、働き方改革、健康経営、関係
ワークライフバランス、働き方改革、健康経営の関係性

実は、根底にある背景は、超少子高齢化社会、人口減少、社会保障費の増加であり、逆に、少子化対策、女性参画を中心とする労働力確保、個人の健康維持・増進、多様化社会に対応した経済活動といったところが、我が国としての目指す方向性と考えられます。
これらにより、20世紀の人口ボーナス期(人口増大期)型の社会経済活動から21世紀の人口オーナス期(人口非増大期)型の社会経済活動への転換を図ることが、日本社会全体の目的観と考えるべきでしょう。

(参考)
内閣府-「仕事と生活の調和」推進サイト
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/

(了)