経営戦略としての「働き方改革」

こんにちは。

すっかり桜も終わってしまった今日この頃、新人研修帰りらしき人々も見かけます。新人研修では、社長をはじめ、幹部層から「働き方改革」について言及のあった会社も多いのではないでしょうか。

その働き方改革。今年度から「働き方改革担当」を設置してその活動を本格化させた会社もあると思いますが、その一方で、『仕事が増えているのに、上司からの「早く帰れ」「まだ帰れないのか」のプレシャーの毎日、それがストレスだよ』という「時短ハラスメント」に悩む現場部署の社員もいるでしょう(いるはずです)。また、『早く帰るようになると追加で仕事を押し込まれから、適当に制限いっぱいまで残業をして帰る』という社員もいるでしょう(いるはずです)。
前者のケースでは、新たなメンタルヘルス問題のタネとなりますし、後者のケースでは働き方改革の成果が上がらない原因となります。
さらには、「残業ゼロ」を目的化してしまっている経営層・管理職もいるでしょう(いるはずです)。このケースでは、いわゆる「隠れ残業」「ヤミ残業」「抜け道残業」を定常化させてしまうリスクがあるといえます。
それともうひとつの側面。真にまじめに、仕事上のノウハウ吸収や勉強を意識して自ら進んで夜遅くまで頑張る若手社員、その心意気は否定できないでしょう。

現場でできる創意工夫は精一杯やって業務効率を上げる。それにより社員ひとりひとりがワークライフバランスを充実させる。まず、経営層がそうした現場レベル、社員個人レベルでの目標に心底共感し、それを応援する姿勢が「実を結ぶ働き方改革」には必要です。とはいえ、それを社員に信じてもらえる経営層とそうではない経営層がいるでしょう(なぜそうなるのかは、およそ想像がつくと思います)。当然、社員と経営層の相互信頼性のある方が働き方改革の成果を出せやすいといえます。
その一方で、経営層は、働き方改革の経営上の目的をどのようにとらえるのか、きちんと定義する必要があります。すなわち、「経営戦略の一環としてとらえられていない働き方改革は成果をもたらさない」と認識すべきです。ここでは詳しく述べませんが、働き方改革は、「ブランディング」と「稼げるビジネスモデル」を考えるよいチャンスとしてとらえましょう。

残業規制ができたからそれに従う。それだけの経営でいいですか?
画一化社会、大量生産・大量消費の時代はとっくに終わっている多様化社会の今、働き方改革の実践による社員のワークライフバランスの充実、その先の社員と会社の成長をきちんと考える。そのよいチャンスかもしれません。

<おまけ>
昭和の中の、時代とともに捨てるべき悪しきコトと、時代が変わっても受け継ぐべき良きコト、これを整理すべき時代が平成だったのかもしれません。まだ、間に合うかも。

(了)

働き方改革関連法施行!

こんにちは。

4月に入り、いわゆる新年度を迎えた方も多いと思います。
特に今日は、新元号の発表という数十年に一度しかないイベントもあり、朝から慌ただしくなった職場(特に行政機関との関係の多い方々)も多いのではないでしょうか。

さて、今日はもうひとつ、忘れてはならないことがあります。
そうです。働き方改革関連法の施行日です。昨年6月に成立したこの関連法による改正は、30以上の法律に及び、その大半は今日が施行日となっています(一部は2020年以降の施行)。

すでに多くの企業・職場では改正事項の周知が図られていると思いますが、念のため、今回は、極簡単に、特に留意すべき重要なポイントを振り返ります。

1.時間外労働の上限規制【施行時期】大企業 2019年4月、中小企業 2020年4月

36(サブロク)協定の特別条項につき、「年間上限720時間、単月で100時間未満、複数月平均のいずれも80時間以内」の限度を設定します。従来、労働時間(残業時間)の上限について法律上の規制はありませんでしたが、今回の改正で、それが初めて規定されました。また、「複数月平均」とは「2ヵ月平均~6ヵ月平均」をいいます。

2.年次有給取得の義務化【施行時期】2019年4月

有給休暇が年10日以上ある労働者について、労働者の希望を踏まえて、そのうち5日の取得を会社に義務付けます。“労働者の希望”を踏まえるのであって、会社側の都合で休暇を割り当てるわけではありません。

3.勤務間インターバル制度の普及推進【施行時期】2019年4月

努力義務として、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保するようにします。例えば、深夜2時、3時といった深夜残業をした翌営業日の出勤を定時より遅らせるようにします。すでに、企業によっては、そのような自主運用をしていた職場もあると思います。

4.産業医の機能強化【施行時期】2019年4月

事業主から産業医への情報提供や産業医等による労働者の健康相談等が強化されます。事業主は、産業医に必要な情報を提供するとともに、産業医の勧告を衛生委員会に報告することを義務とします。

5.高度プロフェッショナル制度の創設【施行時期】2019年4月

一定の収入(1,075万円以上)があり、高度の専門性知識を必要とする5つの業務に従事する場合、本人の同意等を条件に労働時間および休日・深夜の割増賃金等の規定を適用除外するものです。

6.フレックスタイム制の清算期間延長【施行時期】2019年4月

フレックスタイム制の清算期間を、現行の1ヵ月から3ヵ月に延長します。

7.労働時間の客観的な把握の義務付け【施行時期】2019年4月

裁量労働制適用者や管理監督者も含め、すべての人の労働時間の状況が、客観的な方法その他適切な方法で把握されるようにします。これまで労働時間の把握については明確な法的根拠がありませんでしたが、今回、労働安全衛生法において、その根拠が明定されといえます。

参考情報

厚生労働省HP
⇒「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

厚生労働省京都労働局資料
⇒働き方改革関連法の主な内容と施行時期
https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/000271655.pdf

(了)