《働き方改革》覚醒時間の仕事への影響

こんにちは。
働き方改革関連法が施行されて、早くも第一四半期が終わろうとしています。みなさんの会社ではどのような「働き方改革」が進んでいるでしょうか。

残業は夜8時まで?

よく、「残業は夜8時まで」「夜8時になったら強制的にオフィスを消灯」といった話を聞きます。特に、今年4月以降はその掛け声が大きいのではないでしょうか。
では、なぜ「夜8時」なのでしょうか。月当たりの残業時間の上限(規制)からすると、確かにそれくらいの時刻には帰るようにしないと、月間での残業時間が上限を超えそうになるからといえます。しかし、それ以上に、ある実験に基づくと、科学的根拠があるといえそうです。

健康づくりのための睡眠指針2014

厚生労働省健康局の「健康づくりのための睡眠指針2014」(平成26年3月)を見てみました。そのp.22の11行目の最後の方から、「朝8時から持続的に1日以上徹夜で覚醒させた介入研究では、認知・精神運動作業能力は、夜中の3時(17 時間覚醒)で血中のアルコール濃度が0.05%(日本では0.03%以上で酒気帯び運転)の時と同程度に低下し、翌朝8時(24時間覚醒)にはさらに血中アルコール濃度0.1%(およそビール大瓶1本飲用に相当)の時と同程度に低下することが示されている」とあります。
また、p.43の第1段落に「睡眠不足は,疲労や心身の健康リスクを上げるだけでなく、作業能率を低下させ、・・(略)・・起床後12~13時間が限界であり、起床後15時間以上では酒気帯び運転と同じ程度の作業能率まで低下することが示されている」とあります。
つまり、覚醒時間がある程度以上になると、作業の正確性や効率性が、アルコールを摂取した状態と似たような傾向で低下するということです。

チェック作業などは夜8時まで

朝7時起床なら、13時間後は夜8時、15時間後は夜10時。正確な仕事が期待できるのは夜8時時まで、夜10時を超えると効率低下やミスが生じやすくなるということですね。だから夜8時までに仕事を終えて帰ろうということには科学的根拠があるといえそうです。特に、入力作業、確認作業、チェック作業、計算・検算作業、デバッグ作業などは危険ですね。
一方、個人的な見解ですが、クリエイティブな仕事、頭に浮かんだことをアウトプットする仕事では、ある程度の勢いやヒラメキも必要なので、その場合は夜8時にこだわらず一気にやりきることもよいのではないかと思います。ただし、その成果の“確認”や“チェック”は、翌日に改めた方がいいでしょう。

(参考資料)
厚生労働省健康局「健康づくりのための睡眠指針2014」(平成26年3月)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

(了)

《予告》Facebookページ準備中!

こんにちは。

これまで記事投稿をこのホームページ上だけで行ってきましたが、近日中にFacebookでも当社のページを立ち上げる予定です。
名前はそのまま「株式会社パノーファス」とする予定です。
記事形式ではない、思いついた「つぶやき」はそちらの方が充実すると思うので、Facebookページもよろしくお願いします!

《働き方改革》労働生産性と幸福度

こんにちは。
今年の3か月予報では、6月の雨は平年より少なめということですが、あまり雨が降らないと、それによって困る業界・産業もありますね。悩ましいところです。

日本の労働生産性の国際順位は?

さて、「OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性」(※1)という資料があります。これによると日本の順位は20位。20位までの国々は以下の通りです。先進7か国の中では最下位です。

1 アイルランド
2 ルクセンブルク
3 ノルウェー
4 ベルギー
5 デンマーク
6 アメリカ
7 ドイツ
8 オランダ
9 スイス
10 フランス
11 オーストリア
12 スウェーデン
13 アイスランド
14 フィンランド
15 オーストラリア
16 イタリア
17 スペイン
18 カナダ
19 イギリス
20 日本

日本の幸福度は?

この上位20か国について、今年3月20日に公表された、それぞれの国の世界幸福度ランキング(※2)の順位を当てはめてみたところ、こんな散布図になりました。

労働生産性と幸福度
OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性と幸福度のランキング

右上ほど、どちらのランキングも高いのですが、その位置的なこともさることながら、日本がポツンとしていることに、どこか寂しさが。

この幸福度ランキングは、各国国民に対するアンケート調査をもとにスコアリングしており、定量的な客観データをもとにしていない点でアテにならないという意見もありますが、アンケート調査だからこそ、その国民が漠然と感じている”幸福度に対する感覚”が素直に出ているという見方もできそうです。

今、日本では、働き方改革で労働生産性を上げようという取り組みをしているところですが、本当の業務改善・業務改革がないままの、単なる残業抑制、早帰りの強制のための働き方改革を進めるならば、もっと幸福度は下がるのかも知れませんね。
やはり、ワークライフバランスについて、労使で真剣に合意・協調して進める必要があるでしょう。

※1:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018」、p.8(図8)
https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/
時間当たり労働生産性=GDP/(就業者数x労働時間)
※2:「World Happiness Report」(国連の関連団体である持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN))によるもの)
https://s3.amazonaws.com/happiness-report/2019/WHR19.pdf

(了)

《ワーク・ライフバランス》出生率と女性の社会進出

こんにちは。
オリンピックチケットの抽選申込が話題となった5月も終わり、いよいよ梅雨入りシーズンですね。

出生率と女性の社会進出

さて、本日の話題。
「子供が生まれるといろいろおカネがかかるから、共働きしたい(している)」
よくあることですね。
「共働きしたいけど、それができる環境にないので、なかなか子供は・・・」
これも、よくあることだと思います。

日本でいえば昭和40年代、要するに1970年頃までは、女性が仕事に就くという社会進出はまだ少数派で、女性の労働力率は低い傾向にありました。
しかし、そもそもその背景には、女性の社会進出に対する様々な差別があったのも事実であり、国際的に「女性解放運動」、同時でいうウーマンリブが起こり、日本でも1970年11月に第1回ウーマンリブ大会が開催され、その後の男女雇用機会均等法の制定に影響を及ぼしたといわれます。
それからやや遅れて、いわゆる「少子化」が社会テーマとなってきました。社会、個人、各家庭のライフスタイルの多様化が進んだことが背景ではありますが、「女性の社会進出が少子化を助長している」という“見方”が存在するのも事実でしょう。

出生率と女性労働力率の相関

では、女性の労働力率が高くなることと出生率が低下することには相関があるのでしょうか。
以下2つの散布図は、1970年、2000年における女性労働力率と合計特殊出生率の関係を示したものです。

出生率と女性の労働力率の相関(1970年)
出生率と女性の労働力率の相関(1970年)
出生率と女性の労働力率の相関(2000年)
出生率と女性の労働力率の相関(2000年)
(注)散布図は、内閣府「平成18年男女共同参画白書」、p.69(第1-3-8図)をもとに当社で作図しなおしたもの

 

いかがでしょうか。「女性の労働力率が高くなることと出生率が低下する」という(負の)相関は、1970年では成立しているようですが、2000年では労働力率も出生率も高くなるという正の相関がみられます。子育てしていても働きやすい環境が整備されると、労働力率と出生率の双方が高まるのではないか、といえそうです。
ちなみに、図中の赤い丸は日本です。さあ、この現状をどう見ますか?

(労働力率)
労働力率=労働力人口÷15歳以上人口×100
労働力人口=就業者数+完全失業者数
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2000/guide/3-04.html

(参考)
内閣府「平成18年男女共同参画白書」、p.69(第1-3-8図)
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h18/web/index.html

(了)