《働き方改革》大きな視野でワーク・ライフバランスを!

こんにちは。
夏本番が近づいている時期なのに、ぐずついた天気の日が続いています。いかがお過ごしでしょうか。

日本の労働生産性が低いのは事務管理過多だから?

コンプライアンスとかリスクマネジメントとか内部統制、よく聞きます。特に、1990年代半ば以降の金融業界での不祥事や、その他の粉飾決算や巨額損失事件等があるたびに、そうした仕組みが強化された企業が多いと思います。もしかしたら、日本における労働生産性の低さの原因は、そうした「管理のための事務作業が多いから」という側面があるのかもしれません。
では、まだそれほど内部統制について厳しく言われていなかった1980年代以前は、時間当たり労働生産性が高かったのでしょうか?

1970年代から1990年代の労働生産性

OECD加盟国における日本の労働生産性順位を見てみましょう。

70年、75年、80年は19位
85年、86年は21位
87年~90年は20位
91年は19位
92年~94年は20位
95年、96年は21位
97年は20位
98年は21位
99年は20位

(参考資料)公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018」(2018年12月19日)、p.8(図9)

 

景気が良かった時代、経済成長率が高かった時代でも、日本の時間当たり労働生産性は20位前後でした。ちなみに2000年~2017年も、ずっと20位です。
一方、例えばアメリカは、2013年以降は6位、7位の年次もありますが、1985年以降はほとんどの年次で4位か5位となっています。

単にがむしゃらなだけだった? -24時間〇〇ますか?-

今となってはだいぶ昔のことになってしまったバブル成長の時代、80年代から90年か91年頃に向けて、日本はそれ以前からの人口増大期にあり、すでに高齢者人口が増えつつあることは知られていましたが、それでも豊富な生産年齢人口に支えられ、昨今のような「人手不足」「人口減少」はそれほど現実の問題とは認識されていませんでした。

年齢階層別の人口推移
年齢階層別の人口推移
(注)2010年までは総務省「第六十五回日本統計年鑑 平成28年」のp.54(第2-8表)、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書」(平成29年7月)をもとに作成。

 

おそらく、80年代~90年代中頃までは、減ることのない「人手」をバックに、「人を集めてみんなでガンガン働く」がビジネスの王道だったのでしょう。大企業を中心に、「人なんかいくらでもなんとかなる」「一人いなくっても、代わりの要員はいくらでもいる」といった声も、社内ではあったのではないでしょうか。

短期的視野の働き方改革ではなく真のワークライフバランスを

さて、過去の話はそのへんとして、これから先、そう簡単には人口は増えません。人間の頭数をアテにした人手は増えません。だからこそ、生産性向上なのですが、やはり、日常消費行動を中心とする足元の社会経済の基盤は国内人口であることには間違いはないでしょう。
人それぞれのライフスタイルを尊重しつつ、経済だけではなく社会全体の成長を実現させるための「ワークライフバランス」を推進したいものです。

(了)

《働き方改革》労働生産性と幸福度

こんにちは。
今年の3か月予報では、6月の雨は平年より少なめということですが、あまり雨が降らないと、それによって困る業界・産業もありますね。悩ましいところです。

日本の労働生産性の国際順位は?

さて、「OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性」(※1)という資料があります。これによると日本の順位は20位。20位までの国々は以下の通りです。先進7か国の中では最下位です。

1 アイルランド
2 ルクセンブルク
3 ノルウェー
4 ベルギー
5 デンマーク
6 アメリカ
7 ドイツ
8 オランダ
9 スイス
10 フランス
11 オーストリア
12 スウェーデン
13 アイスランド
14 フィンランド
15 オーストラリア
16 イタリア
17 スペイン
18 カナダ
19 イギリス
20 日本

日本の幸福度は?

この上位20か国について、今年3月20日に公表された、それぞれの国の世界幸福度ランキング(※2)の順位を当てはめてみたところ、こんな散布図になりました。

労働生産性と幸福度
OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性と幸福度のランキング

右上ほど、どちらのランキングも高いのですが、その位置的なこともさることながら、日本がポツンとしていることに、どこか寂しさが。

この幸福度ランキングは、各国国民に対するアンケート調査をもとにスコアリングしており、定量的な客観データをもとにしていない点でアテにならないという意見もありますが、アンケート調査だからこそ、その国民が漠然と感じている”幸福度に対する感覚”が素直に出ているという見方もできそうです。

今、日本では、働き方改革で労働生産性を上げようという取り組みをしているところですが、本当の業務改善・業務改革がないままの、単なる残業抑制、早帰りの強制のための働き方改革を進めるならば、もっと幸福度は下がるのかも知れませんね。
やはり、ワークライフバランスについて、労使で真剣に合意・協調して進める必要があるでしょう。

※1:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018」、p.8(図8)
https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/
時間当たり労働生産性=GDP/(就業者数x労働時間)
※2:「World Happiness Report」(国連の関連団体である持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN))によるもの)
https://s3.amazonaws.com/happiness-report/2019/WHR19.pdf

(了)