人事評価制度設計支援

人事制度には「採用」「育成」「評価・報酬」の側面があります。ここでは、「評価・報酬」に関する制度設計の進め方の全体像を紹介します。

現在、貴社に人事評価制度があっても・なくても、何か問題を感じていても・いなくても、少しでもこの記事に興味をもったら、是非お問い合わせください。

あなたの会社の人事評価制度は?

社員数が500人、1000人、1万人と大規模になり、いわゆる大企業サイズの場合、人事評価制度は大勢の社員からの不平・不満を回避するために、多面的で、多様な要素を取り入れ、結果として複雑になる傾向があります。
一方、社員数が5人以下のような小規模事業の場合には、評価制度がない場合があり、社長の(良心的な)一存か、社員の話合いでも、人事評価の運用は可能です。
では、社員数が30人を超え、50人、100人くらいの会社の場合は、どうでしょうか。おそらく以下のような感じではないでしょうか。
(1)ネットの情報や本を読んで勉強して、見様見真似で制度を作った
(2)社労士の先生にお願いして作ってもらった(実態は丸投げ
(3)社長単独または限られた幹部だけで「なんとなく話し合って」いる

人事評価制度と売り上げの関係

いずれにせよ、それで「回っている」ということなら、それ以上はあまり手を付けないというのが実情と思います。人事評価は非常にセンシティブな存在であり、本当に真剣な検討をするなら、非常に労力・時間を要するものだからです。
とはいえ、中小企業白書では興味深いデータが紹介されています。図は、「人事評価制度があると売上が増加するのか?」という観点で観ることができます。これによると、「人事評価制度がある」企業の方が、一定期間における売上の増加率が大きいということがあるようです。
では、人事評価制度があれば、それでいいのでしょうか?

人事評価制度と売上の関係(2022年中小企業白書)

作り方よりも大事なこと

人事評価制度を「どうやって作るか」ということ以前にとても大事なことがあります。それは、人事評価制度には「育成」と「査定」の2面があることを理解しておくことです。
特に「育成」が大事なポイントです。これは単に、何々の資格を取って欲しいという話ではなく、その会社として望ましい社員の成長を定義した上で、評価と報酬を通じて、そのような社員に「育成」していくことを意味します。
一方、社員も、評価と報酬を通じて、自分自身の「成長」のキャリアパスを描けるようにすることを意味します。
個別の研修等は育成の具体的な施策(手段)ではありますが、その根幹の考え方を文書化し、ルール化したものが人事評価制度であると理解すべきです。

人事評価制度の検討手順

ご参考までに、人事評価制度の制定・改定の手順を簡単に紹介します。これらの手順を経て、皆さんと私たちで、貴社に合った人事評価制度を作っていきます。
”効率よく導入できるイージーオーダー式”のような、出来合いの評価制度をちょっとカスタマイズするようなアプローチはとりません。基本的には貴社オリジナルな制度を作ります。
会社の規模が小さいほど、個別の事情に応じた「運用しやすく、納得性の高い制度」にする必要があるからです。

STEP

目的の明確化

人事評価制度を構築する目的を明確化します。単に「お金」の話ではない目的を明確にします。
-そもそも人事評価は何のためにするのでしょうか?
-誰にとって、どのような意味があるのでしょうか?
また、単に問題点の裏返しで考えないことにも注意が必要です。例えば、「わかりにくい」という社員の声に対して「わかりやすくする」というのは、必要な課題認識ではありますが、それ自体は目的ではありません。もっと、長期的な会社全体・経営の目線で目的を検討します。その際は、会社のミッションやビジョンとの関係で考えるとよいでしょう。


STEP

現状把握

まずは、足元をよく見ます。現状、何がどうなっているのでしょうか?
以下のような様々な視点から、現状はどうなっているのか確認した上で、これから設計する制度の方向性を定めます。
なお、(4)及び(5)の一部は、STEP3.社内アナウンス及びSTEP4.検討体制構築のあとに行います。
(1)会社のミッション等の確認
(2)財務状況(人件費)の確認
(3)人材ニーズの確認
(4)現行制度の確認
(5)問題・課題の調査・分析(社員へのヒアリングを含む)
(6)人事評価制度の方向性検討(基本方針)


STEP

社内アナウンス

社長自ら人事評価制度への取組を発信します。
人事評価制度は社員全員にとって関心の高いことです。制度の制定や改定をするというアナウンスは、「経営層が秘密裏に勝手に決めている」という、社員のネガティブな印象を和らげます。この際、簡潔に以下の5点を伝えます。
(1)人事評価制度に関する現状(問題点、課題認識)
(2)制定・改定の目的(人事評価制度を通じた会社の未来像と人材像)
(3)人事評価制度の方向性(基本方針)
(4)マスタースケジュール
(5)社員へのお願い事項


STEP

検討体制構築

人事評価制度を検討する体制を決めます。
評価制度は、社長が1人で決めるものでもなく、コンサルティング会社が丸ごと作るものでもありません。会社によりますが、幹部職、中間管理職、一般社員の協力や、検討体制への参画も視野に入れます。
一般社員の参画は、人事評価制度を通じた会社への期待、評価制度に関する意見収集が主な目的です。
中間管理職以上の方々には、ある程度の具体的な役割分担をお願いします。
日々の業務で多忙とは思いますが、小さな会社であるほど、「自分たちで作って、運用する」制度にすることが、制度の定着と成果の結実には、極めて重要なポイントです。
もちろん、専門の士業やコンサルティング会社に支援をお願いしながら進めることはOKです。くれぐれも、「支援のお願い」であって、主役は自分たち社員である意識が大切です。


STEP

等級設計

社員の役割・能力・成果(業績)に応じた、職制や昇格・昇給に関する段階(ランク)を設計します。等級・号俸設計とも言います。
この設計は、単なる給与段階の設計ではなく、社員がキャリアパスを描くことができ、その道筋が等級水準(給与水準)や役職とどのように関係しているのかということを理解できる仕組みにする必要があります。
以下の観点から設計します。
(1)社員のキャリアパス=成長ストーリーを描く
(2)身につけて欲しい能力とは何か?
(3)担って欲しい職務(役割)とは何か?


STEP

評価設計

人事評価の運用面の設計です。最も会社特有のオリジナリティが必要な部分です。
概ね、以下の観点からの設計をします。中間評価、期末評価等のタイミングのほか、能力評価、職務評価、成果(業績)評価、行動評価といった評価の視点、具体的な評価項目を検討します。
凝り過ぎず運用しやすくわかりやすく納得しやすい評価項目にすることが肝要です。
(1)何を評価するか(評価項目)
(2)どのように評価するか(絶対・相対評価、評価基準)
(3)誰が・誰を・いつ評価するか(運用設計)


STEP

報酬設計

賞与、昇給、昇格の仕組みや配分、具体的な昇給額等の設計です。
報酬は、社員の生活に直接かかわることであると同時に、会社としても、人件費の問題として慎重な検討が必要になるものです。ここで大事なのは、「報酬はコストではなく投資」という考え方。社員が「報われている」と実感を持てた上で、さらなる成長意欲が持てるような設計とします。
(1)枠組み設計(賞与、昇給、昇格をどのように関係づけるか)
(2)報酬構造設計(基本給、能力給、業績給、手当等の設定と配分)
(3)金額設定(具体的な昇給、昇格時の金額アップの設計)
(4)人件費シミュレーション(財務的に無理がないことの確認)
(5)必要な事項を給与規定としてまとめる(文書化)


STEP

社員への説明

作り上げた人事評価制度を社員に説明します。説明文書の配付で済ますのではなく、説明会を実施します。
制度=作品、説明=お披露目と考えて、しっかりと言葉を届けます。とはいえ、冗長ではなく、以下の観点をおさえます。質疑応答の時間も確保しましょう。
(1)なぜこうしたのか?(制度制定・改定の理由)
(2)この制度を通じて会社は何を目指すのか?(ミッション、ビジョンとの関係)
(3)この制度を通じて社員にどうなって欲しいのか?(キャリアビジョンとの関係)
(4)評価制度の概要
(5)等級、評価方法、報酬について
(6)導入スケジュール


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