コミュニケーション活性化としてのコーチング
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どんなコミュニケーションをしていますか?
よく仕事・職場では「コミュニケーションが大切」といわれますが、どれほどのコミュニケーションが実践されているでしょうか?
「報・連・相」はシッカリやっている!という職場もあるでしょう。しかし、その会話は、形式上の紋切型だったり、片方が問い詰め片方が答えるだけだったり。報告も、連絡も全てメールになり、そうした会話すらない職場もあるのではないでしょうか。
そんなコミュニケーション不足の状況で、社員と営業先とのコミュニケーションは上手にできているでしょうか?
職場で“話す余裕”、ありますか?
少なくとも1980年代、景気・社会の成長が右肩上がりの時代、残業だの徹夜だのという忙しさはあったとしても、どこか“緩さ”があり、職場も“家庭的”で、“上司がお父さん代わり”などという職場もあったと記憶しています。
ところが、90年以降、バブル崩壊、景気は右肩下がりの時代、コスト削減、人員削減、リストラ、効率化などの流れの中で、ギスギスした社会になったのではないでしょうか。いきおい、職場の雰囲気もかつてのような、いい意味でノンビリした雰囲気がなくなってきたことでしょう。2000年代に入ってからは、リーマンショックやら、長引く人手不足などで、時間に追われる日々の職場が多いのではないでしょうか?
加えて、今では労働時間の制約が厳しくなり、職場全体、ますます“話す余裕”がなくなってきていませんか?
さて、そのように厳しい時代を過ごしてきている90年~2000年頃に入社した人たちも、今や40代~50代。管理職世代でしょうか。もしかしたら“話す余裕”を知らない世代といえるかもしれません。そして、今の若手も、“話す余裕”のある職場を知らない世代なのかもしれません。
今の時代だからこそ「コーチング」
デジタルの時代、スピードの時代といわれて久しく、コミュニケーションの方法は、簡単な方法がいくらでもある時代です。とにかく言いたいことを簡単に伝達することはできます。
実はここに、コミュニケーションの落とし穴があります。簡単なコミュニケーションをしていると、書いてなかった、言われなかった、聞いてなかった。だから知らない、分からないという単純なコミュニケーションになってしまい、真意をくみ取る、言外の意を解する、行間を読むといった思考が疎かになってしまいます。
しかし、日常ビジネスでは、「顧客のニーズをくみ取れ」「真意をよく考えろ」「言わなくても分かるだろ」という言葉が飛び交っていませんか?
さて、コーチングには「質問する」「聴く」という大きな特徴があります。これはまさに、ビジネスでも実践すべき、「よい質問をする」「きちんと聴く」そのものに役立つのです。
コーチングの研修は、「質問する力・聴く力の研修」といえるでしょう。
コーチングの効果
コミュニケーションの質を向上させる
「コーチング」の特徴である「質問する」と「聴く」は、「回答」を引き出します。当たり前のようですが、上質な質問をした方が、上質な回答を引き出すことでしょう。
顧客からよい回答を得られなかった部下に、「そんな質問の仕方をするから、そんな回答しかもらえないんだ」と言う上司、いると思いませんか?
「上質な回答」とは、顧客の本音や隠れたニーズだったり、部下の本音だったり、要するに、建て前や形式ではないことです。
つまり、「コーチング」のスキルを活用することで、上司と部下の会話や、社員と営業先との会話をグレードアップさせることが期待できるといえるでしょう。
「気づき」を促す
ビジネスや教育の世界では「気づき」が大切といわれることが多いと思います。自分で何でも気づけるならばそれに越したことはないのですが、なかなかそうはいかないのが人間です。
コーチは、クライアントに対して、多面的で多様な、時にはあいまいな質問を投げかけます。クライアントはその質問に答えるようと考え、頭の中を整理します。その結果、「それまで気づかなかった何かに気づく」ことがあります。それを促すのがコーチングともいえます。
でもやっぱり「コーチング」って怪しい?胡散臭い?効果あるの?
一般的に、「コーチング」に対しては懐疑的な方が多いだろうとは思います。特に、「コーチング」を知らない又は実体験したことがない人のうち半数程度の人は、「コーチング」について、おそらくネガティブな印象を持っているでしょう。
例えば、以下のような説明を読んで、どのように感じますか?
「コーチング」は、対話形式で行う能力開発、人材開発の一手法であり、「答えはクライアントの中にある」という原則に基づき、コーチと呼ばれる質問者からの多面的な質問にクライアント(受け手)が答えることによって、クライアントの発想を豊かにし、思考の整理を促進します。
コーチは、クライアントの「理想像・将来像・目標」に向かって、クライアント自身がその持てる能力を最大限に発揮し、行動を決断し、実践できるようにし、より高い目標に、より早く到達することを支援します。
実は、当社が独自に行った調査でも、上記の説明文を読んだ結果、41%の人がネガティブな印象を持ったと回答しています。(図1)
一方、コーチングの体験のある人は、他人にコーチングを薦めるか否かの質問に対して、約8割が肯定的な回答(6点以上)をし、否定的回答(4点以下)はいませんでした。(図2)
百聞は一見に如かず。とにかく体験してみるということが大事です。
(図1:否定的意見)
※グラフをクリックすると大きくなります
(注)当社が実施した「コーチングの認知度及び利用実態に関する調査」(ネット調査で回答数500人)において、コーチングについて「どういうものか知らないが、言葉としては聞いたことはある。」、「聞いたこともない」と回答した者を対象としたコーチングの印象を問う設問における回答状況。
(図2:肯定的意見)
※グラフをクリックすると大きくなります
(注)同上の調査において、「コーチングを受けている又は受けたことがある」と回答した者39人に対して、コーチングを他人に薦める度合いを10点満点(10点は強く薦める、0点は全く薦めない)で評価してもらった結果。6点以上の肯定的評価は31人だった。
どのように導入すれば?
大きく分けて2つの考え方があります。
1つは、管理職に対してコーチングを理解・習得していただく研修を実施すること。これにより、本格的なコーチングではないとしても、コーチング特有の質問スキルを活用した組織内コミュニケーションを図ることができるようになるでしょう。
もう1つは、1on1コーチングといわれるものの導入。これは、プロ・コーチとの1対1の対面によるコーチングです。経営層・管理職を対象とする場合は、部下育成・キャリアアップ・経営ビジョンなどをテーマとしてコーチと対話することで、その立場・役割としての一層のパフォーマンス向上が期待できます。また、年齢によってはセカンドキャリアをテーマとし、人生100年時代の自己設計を促すこともお薦めできます。
若手や中堅を対象とする場合は、自己目標(ありたい自分)の設定・キャリアアップ・コミュニケーション力向上・モチベーションアップなどをテーマするとよいでしょう。
上司や管理職がコーチになればよい?
もちろん、それもOKですが、なかなか難しい実態があるようです。どうしても、上司と部下、評価権限のある者と評価を受ける者という立場があるためや、そうでなくても、同じ社内の人間には心を開かず“建て前”しか話さない社員がいます。
また、時々、コーチングが誘導尋問のように誤用・悪用されることがあります。コーチ役である上司が答え(例えば、受注10件達成)をもっていて、それを部下に言わせようと、あの手この手の質問をし、結局部下が「わかりました。受注10件を目標にします」と言わざるを得ない状況を作り出すようなことです。
理想的には、時間をかけて丹念に管理職に対するコーチング研修を継続し、管理職の方々が名実ともにコーチになっていただくこと、そして同時に、組織において相互の信頼関係を構築する取組を進めることが望まれます。
また、短期的には、外部のプロ・コーチを活用した1 on 1コーチングを導入し、社内にコーチングの効用を浸透させることも、ひとつの方法といえるでしょう。
よくある質問
「コーチング」に関する学術的な定義はあるの?
残念ながら、学術的に保証された定義はありません。
ちなみに、国際コーチ連盟では、コーチングを次のように定義しています。
「コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことです。
対話を重ね、クライアントに柔軟な思考と行動を促し、ゴールに向けて支援するコーチとクライアントとのパートナーシップを意味します。」(国際コーチ連盟日本支部HPから引用、https://icfjapan.com/coaching)
カウンセリングやコンサルティングとは違う?
違います。
カウンセリングは、一般的に何らか精神心理的に不健全な要素を抱え持った人に対する相談支援ですが、コーチングは、精神心理的には健全な状態である人を対象とします。
コンサルティングは、クライアントの持つ問題・課題を解消し、目標へ導くことを仕事とする点では似ていますが、コンサルタントが持つノウハウや情報をクライアントに積極的に提供することやコンサルタント自身がそれらを実行することに重点が置かれます。コーチングでは、クライアントが持つ知識・経験・実績・体験・人脈等を引き出し、クライアントが自力で考え、自力で行動し、自力で解決し、自力で未来に進んでいくことを“パートナーとして支援する”という立場を取ります。
1 on 1コーチングの具体的な方法は?
原則として、コーチングは一対一の対面で、貴社指定の場所で行います。ただし、直接対面のほか、電話、Skype等の通信手段を用いた方法も対応可能です。1回当たりは60分程度が一般的です。
回数や期間は、貴社との相談で決めますが、一般的には、1人当たり月1回~2回、期間は6か月(希望によっては1年)とすることが多いようです。所要期間は、コーチングの対象者数と当方で対応するプロ・コーチの人数によって変動するといえますが、組織的にコーチングの効果が出るには時間を要するので、コーチング契約自体は1年間とした上で、その中で、より良い効果が出るようにコーチングそのものや研修の見直しをしていくことをお薦めします。
コーチングの内容はどんなことでもいいのでしょうか?
法人向けに提供するコーチングサービスでは、契約元である法人様と著しく利益相反を生じさせる内容は、原則として控えていただくことになりますが、そのような内容を除けば、コーチングを受ける方それぞれの自由な内容でかまいません。
また、法人様からある一定の共通テーマを設定していただいて、それを含めた内容でコーチングとする方法もあります。
テーマの例
・管理職向け⇒目指すリーダー像、理想的な組織の在り方、組織メンバーとのコミュニケーション改善など
・若手社員向け⇒将来のキャリアイメージ、数年後の目標、モチベーション向上、社内におけるコミュニケーション改善など
・プロジェクトチーム向け⇒顧客ターゲット(ペルソナ)、顧客への提供価値、商品・サービスの価値など